「また応募ゼロか…」
「せっかく入社してもらったのに半年で辞めてしまった…」
こんな状況に頭を抱えている製造業の経営者や採用担当者の方は多いのではないでしょうか?
少子高齢化による労働力人口の減少、デジタル業界への人材流出など、製造業の採用環境は年々厳しさを増しています。
しかし、実は適切なWeb戦略で、この厳しい状況を打開できる可能性があります。
ホームページ(採用サイト)やSNS、動画などを上手に活用する手法です。
- 求職者から見つけてもらいやすい
- 自社の魅力を的確に伝えられる
- 早期離職を防ぐ
これらをすべて解決するのです。
本記事では、製造業の現場で実際に成果を上げている具体的な施策をご紹介します。
応募を動機づけるページを作る戦略を公開中。実践的だから取り組みやすい解説書です。
1.製造業の採用課題と解決の方向性
製造業では、慢性的な人手不足が続いています。
少子高齢化による労働人口の減少だけでなく、IT企業やサービス業への転職を選ぶ人が増えたことなどが背景にあります。
特に中途採用で人材を確保するとなると、大企業だけでなく同業他社との競争も激しくなりがちです。
1-1.現場でよく聞かれる悩み
弊社にご相談いただく際に悩んでいることは大体このような内容を多くいただきます。
「求人を出しても応募が集まらない」
「書類選考は通過しても、面接後に辞退される」
「入社しても数ヶ月で辞めてしまう」
思い当たる節はありませんか?
これらの課題はバラバラに見えますが、実は共通の原因だと考えています。
「応募者が企業について十分に知る場所が用意できていない」
これが、多くの問題の根本にあります。
1-2.データで見る製造業の採用実態と求職者のネット利用
求人情報を得る経路は一つではなく、複合的な情報収集によって応募先の選択肢を広げるのが現在の求職者の特徴です。
- 製造業の有効求人倍率:1.5倍超(2023年8月時点、厚生労働省調べ)
- 求職者が情報源として利用するのは「公式ホームページ」が88.7%
- 転職活動をする20代の85%がSNSで社名を検索
参考:
一般職業紹介状況(令和6年11月分)について | 厚生労働省
転職活動者の9割が企業HP、7割が採用HPから企業研究をすると回答!「ゼロからはじめる「採用情報」発信術」|人事、採用、労務の情報ならエン人事のミカタ
転職活動を行う20代の85%がSNSで社名を検索、株式会社リソースクリエイション調査 |HR Frog
1-3.解決の方向性は「Web」にあり
転職活動をする人の多くは、まず企業をインターネットで調べます。
特に中途採用では、企業サイトやSNSを見て「この会社で働きたい」と具体的にイメージできるかどうかが、応募・入社の決め手になります。
つまり、採用サイトの質と情報の伝え方が、採用成功の鍵を握っているのです。
1-4.いくつかの媒体で情報収集してから応募する流れ
多くの求職者が、このような行動の流れを取ります。
つまり、インターネットにある情報の量は多いほうが「知ってもらい」「応募したくなる」のです。
1-5.成功事例:企業公式ホームページ立ち上げで応募者増加した千葉の製造会社
弊社が制作を担当したヤスミ資材グループ様は、採用の問題を考えていました。
公式ホームページを作成し採用に関する情報を充実させたことで安定した応募を確保することができました。
求人を開始してから以前に比べ5倍の応募があり、大幅に改善しています。
取組前:
求人情報を出す媒体はハローワーク
公式ホームページはない
取組:
公式ホームページを立ち上げ、採用向けページを充実
Instagramアカウントを開設
インディード等の求人サイトにも出稿
結果:
求人を公開後、5倍の応募者を獲得
2.第一歩:採用ページを「候補者目線」で作り直す
採用ページを改善するうえでまず重要なのは、求職者の視点に立った情報設計です。
製造業の中途採用では、とくに以下のような情報を分かりやすくまとめると効果的です。
- 働く雰囲気が伝わる写真や動画
- 具体的な仕事内容
- スマホでも見やすいレスポンシブデザイン
- 現場作業者のインタビューの掲載
2-1.採用サイトで必ず入れるべき情報
採用サイトに入れるべき情報です。
チェックリストとして使ってください。
- 具体的な仕事内容と一日の流れ(写真付きで説明)
- 経験者・未経験者別の成長ステップ(入社後3ヶ月、半年、1年でできるようになること)
- 給与・待遇の明確な提示(モデルケースや昇給実績も可能な範囲で)
- 勤務環境の実際(工場の設備状況、休憩所、食堂など)
- 先輩社員の声(特に中途入社者の率直な感想)
2-2.製造業ならではのポイント
製造業は「現場を見せる」ことが重要です。
機械設備や作業環境、安全対策など、文字だけでは伝わりにくい情報を、写真や動画でリアルに伝えましょう。
「工場は汚い、キツい」というイメージを払拭するためにも、清潔な作業環境や最新設備をアピールすることが効果的です。
3.応募数を増やすための「見つけてもらう」仕組み
採用ページを充実させても、そもそも応募者に見つけてもらえなければ意味がありません。
まずは自社の公式ホームページ内に「採用情報」や「採用ページ」への明確なリンクを設置しましょう。
トップページやグローバルメニューにバナーを置き、訪問者が迷わずアクセスできるようにすることが基本です。
3-1.効果的なWeb導線作りの実践法
応募数を増やすためには、まず自社の求人情報を「見つけてもらう」仕組みが必要です。
さまざまな求人情報媒体を活用しましょう。
ハローワークにしか載せていない製造業者も多いのですが、Web上の媒体にできるだけ多く出稿するのがお勧めです。
3-1-1.求人検索エンジンへの対応
- Indeed、Googleしごと検索は無料で掲載可能
- 自社サイトの求人情報を構造化データで記述する
- 求人情報は毎週更新し、常に検索上位に表示されるよう工夫する
3-1-2.地域密着型のSEO対策
- 「○○市金属加工求人」「△△県製造正社員」など、地域名と業種を組み合わせたキーワードで上位表示を狙う
- 地元の情報サイトや商工会議所のリンク集に掲載してもらう
3-1-3.従来型媒体との連携
- ハローワーク、求人媒体の情報は極力簡潔にし、詳細は自社サイトへ誘導
- QRコードを活用し、紙の求人票からでもスマホでサイトを見られるようにする
4.ミスマッチを防ぐ「リアルな情報公開」の実践法
採用後に「こんなはずじゃなかった」という早期離職を防ぐためには、入社前にできるだけリアルな情報を公開しておくことが重要です。
特に中途採用者は、すでに他社での社会人経験があるため、給与や待遇、社内の風土について具体的なイメージを得たがっています。
4-1.「あえての弱点開示」がもたらすメリット
採用活動では、企業の良い面だけでなく、実際の課題や大変な点も適切に開示することで、入社後のミスマッチを防げます。
応募数は減少する可能性があるかもしれませんが、入社後の定着率が大幅に向上する効果が期待できます。
「良いこと」ばかりではなく、リアルな情報を正直に出すことはお互いのメリットになります。
- 繁忙期の残業時間の実態
- 工場内の作業環境(暑さ・寒さなど)の実情
- これらの課題に対する会社の改善計画
4-2.ミスマッチを防ぐ効果的な情報公開法
4-1-1.待遇面の透明性
- 基本給の範囲、各種手当、賞与実績を明示
- 昇給の仕組みや評価制度を具体的に説明
- 残業の実態や繁閑期の傾向を正直に伝える
4-1-2.職場の実態を伝える工夫
- 「現場のリアルな1日」を時間軸で紹介
- 作業服や防護具を着用した実際の作業風景を掲載
- 現場の音や温度感など、五感で感じる情報も伝える
4-1-3.中途入社者の生の声
- 入社1年目の社員インタビュー(前職との違いや驚いた点)
- 「最初に苦労したこと」と「それをどう乗り越えたか」
- 転職して良かったと感じる点・悩んだ点を率直に語ってもらう
5.応用編:SNS・動画を活用した「働きたい会社」づくり
SNSで、採用ページへのリンクや社内トピックを定期的に発信するのも効果的です。
代表者や広報担当、現場社員がSNS上で活動していると、その企業の技術力や社風に興味を持つフォロワーが集まりやすくなります。
- 工場長が主役の「ものづくりへのこだわり」を伝える動画シリーズ
- 従業員が登場する「うちの会社の〇〇さん」という定期コンテンツ
- 地域貢献活動(工業高校への出前授業など)の様子
- 特殊な機材を操作している様子
- 機材メンテナンスを行い、丁寧で誠実な仕事の姿勢を見せる
上記は一例ですが、企業で「働く」イメージを伝えることができ、イメージ向上にもつながります。
5-1.製造業でも使えるSNS活用法
5-1-1.YouTube(動画)の活用
- 製造工程の解説動画(技術的な価値を分かりやすく)
- 社員の「技」を紹介する短編動画(匠の技や経験値)
- 社長や幹部による「ビジョン講話」(会社の将来性や安定性)
5-1-2.Instagram(写真)の活用
- 完成品や部品の美しさをクローズアップ
- 社内行事や福利厚生の様子を発信
- 「#町工場の〇〇」などハッシュタグを工夫
5-1-3.ブログの活用
- 会社の歴史や地域との関わりを紹介
- 取引先との協業事例や成功事例の紹介
- 工場見学会などイベント告知と報告
6.継続的な改善で採用力を高める方法
採用サイトやSNSを運用する上では、PV(ページビュー)や応募数、SNSのエンゲージメント率、面接後の内定承諾率、さらに入社後の離職率など、数字を継続的に追うことが大切です。
分析結果をもとに、コンテンツの改善や導線の見直しを行うことで、より成果につながりやすい運用ができます。
6-1.データ分析で実現する採用効率化
- 応募者アンケートで「どこで求人を知ったか」を毎回確認
- サイト内の各ページのアクセス数・閲覧時間を分析
- 面接官の質問内容と内定承諾率の相関を調査
6-2.数値で管理する採用改善のポイント
6-1-1.基本指標の定期チェック
- 採用サイトのPV数・直帰率・滞在時間
- 応募率(サイト訪問者のうち実際に応募した割合)
- 応募者の情報源(何をきっかけに応募したか)
- 内定承諾率と入社後の定着率
6-1-2.改善サイクルの回し方
- 月次で数値をチェックし、前月・前年比で傾向を把握
- 四半期ごとにコンテンツの更新計画を立てる
- 半年に一度、効果の低い施策を見直す
6-1-3.現場を巻き込む仕組みづくり
- 工場長や班長から「今月の現場の様子」を定期的に集める
- 若手社員に「なぜこの会社を選んだか」を語ってもらう機会を設ける
- 採用サイトの更新を「現場発信型」で進める体制を構築
7.まとめ
製造業の採用難は、多くの企業が抱える共通課題です。
しかし、Web戦略を見直すことで、「待ち」の採用から「攻め」の採用へと転換できます。
重要なのは、正直かつ具体的な情報発信です。
きれいごとだけを並べた採用サイトではなく、現場の実態や苦労も含めてリアルに伝えることで、本当に貴社に合った人材と出会える確率が高まります。
採用活動は一朝一夕で結果が出るものではありません。
しかし、この記事でご紹介した施策を着実に実行していけば、必ず採用状況は改善します。
ぜひ明日からでも、できることから始めてみてください。
この記事を書いた人
横山ゆみこ
株式会社Cyber Cats ブログ編集長。ウェブディレクター、コンテンツ発信サポーター
ブログを9年間運用してきた経験から実践的なアドバイスを得意とし、コンテンツ発信を活用して企業の価値を高めるサポートをしています。
400件を超える中小企業のホームページ制作に関わり、SEO、コンテンツマーケティング、ライティングの知識を使ったコンテンツ制作で利益につなげる制作ディレクションと利益獲得のアドバイスをしてきました。
ウェブの情報発信力を存分に活用する考え方を基礎からお伝えし、運用能力を身につけていただくお手伝いをしています。
詳しいプロフィールはこちらから ニュースレターを購読してみる 横山ゆみこのXはこちら noteはこちら