「SNSやブログで情報を発信してみたいとは思っているものの、何から始めればいいか分からない」
「ネットでの宣伝が必要だと感じつつも、苦手意識があって手が動かない」
このような経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか?
大企業と違って潤沢な広告予算があるわけでもなく、やみくもにチラシやネット広告を出しても成果が見えにくい。
そんな悩みを抱える方にこそ、コンテンツマーケティングという手法が有効です。
コンテンツマーケティングとは、見込み客や顧客にとって価値のある情報を継続的に発信し、信頼関係を築くことで、最終的には売上や利用者数の増加などの成果を得るマーケティング手法を指します。
大きな広告費をかけるよりも、地道な情報発信やコミュニケーションを重ねることで、長期的な効果を狙える点が特徴です。
本記事では、コンテンツマーケティングがどのようなものか、なぜ中小企業や就労継続支援事業B型などの事業所にも有効なのかを具体的に解説します。
読み進めるうちに、「これなら自社でも取り入れられるかもしれない」と思っていただければ幸いです。
1.コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングは、「商品の直接的な売り込み」ではなく、「ターゲットユーザーにとって有益なコンテンツの提供」を中心に据えたマーケティング手法です。
例えば以下のようなものです。
- 専門知識を解説するブログ記事
- 業界のニュースやトレンドをまとめたSNS投稿
- 商品やサービスの使い方を分かりやすく伝える動画
ポイントは、発信相手に「役に立った」「勉強になった」「もっと知りたい」と思ってもらうこと。
それを地道に続けることで、発信者(企業・事業所)に対して好印象や信頼感が生まれ、ゆくゆくは「この会社に相談してみたい」「ここの商品を利用してみたい」という購買・利用意欲につながります。
1-1.広告とは何が違うのか?
従来型の広告(チラシやバナー広告など)は、直接的に「商品を買ってください」とアピールするものが中心でした。
もちろん、即効性があるため有効な場合もありますが、最近は消費者自身がSNSやネット検索で積極的に情報を収集する時代です。
興味のない広告や、一方的に感じられる宣伝には注意を払われにくくなっています。
その点、コンテンツマーケティングは「相手が求めている情報を提供し、疑問や不安を解消すること」に重きを置きます。
「いつもためになる情報を発信してくれる会社」というポジティブなイメージを作り上げ、長期的に見込み客との関係を育んでいくのです。
現在は、広告目的のコンテンツも存在します。
役立つ情報をコンテンツとして届けつつ、商品・サービスのアピールをすることができるのです。
広告目的のコンテンツは、「PR」などの表示をしたうえで公開されるため判別しやすくなっています。
2.なぜ中小企業が取り組むべきか
2-1.専門性や地域性をアピールしやすい
大企業ほど大きな予算や人員がなくても、中小企業ならではの専門性や地域性を強みにできるのが、コンテンツマーケティングです。
大企業には出しにくい「親近感」や「こだわりの強み」として伝わりやすいのは以下のようなコンテンツです。
- 地元や地域密着型のイベントでの活動
- 職人技や少人数ならではの丁寧な作業風景
- スタッフや利用者さんの人柄が見えるエピソード
こうした「人間味」のある情報は、多くの人に共感や安心感を与えます。
その結果、検索やSNSを通じて見つけてもらった人が「一度問い合わせてみよう」「購入してみよう」と思うきっかけになるのです。
2-2.コストを抑えながら、長期的に成果を狙える
コンテンツマーケティングは、「無理な予算をかけなくても、続けることで成果が積み上がる」手法です。
ブログやSNSのアカウント自体は基本的に無料で開設できます。
また、大がかりな広告出稿をしなくても始められます。
もちろん、記事を書く時間や写真を撮影する手間は必要です。
しかし、長期的にコツコツと更新していくことで、検索エンジンに評価されたり、SNSでのフォロワーを増やすことが期待できたりします。
大事なのは「継続すること」。
すぐに大きな効果が出なくても、半年から1年ほど継続すれば、投稿や記事が資産となり、自然と問い合わせや来店、利用者の増加につながる流れを作りやすくなります。
2-3.信頼関係を築きやすい
コンテンツマーケティングでは、企業が一方的に情報を発信するだけではありません。
コメントへの返信やメッセージでのやり取りを通じて「双方向のコミュニケーション」が生まれます。
これは大量広告にはなかなか真似できない、コンテンツマーケティングならではの強みです。
「商品づくりの工程が見られて安心」
「SNSを通じて質問したら、すぐ回答してくれた」
「コメントに返信をしてくれて嬉しかった」
このような体験を積み重ねた人は、企業に対して「ここは信頼できる事業所だ」「気軽に相談できる会社だ」という印象を持ちやすくなります。
こうして生まれた信頼関係は、価格だけでは動かない顧客・利用者にとって大きな価値となります。
結果的にリピーターやファンを増やすことにつながっていくのです。
3.コンテンツマーケティングで得られる具体的な効果
3-1.ブランド認知度の向上
「○○(地域名)で△△をしている事業所ならあそこが詳しい」
「○○(分野名)ならこの店がおすすめ」
継続的に有益な情報を発信し続けると、自社にまつわるキーワードと結びついた認知度が高まっていきます。
自分でも思い当たる節があるのではないでしょうか?
いわゆる「ブランディング」とも言える効果です。
ブランディングができてくると、まだ利用していない人にも社名やサービス内容を知られるチャンスが増えるでしょう。
3-2.問い合わせやリピート率の向上
コンテンツの中で、お客様の疑問や不安をあらかじめ解消する情報を提供しておくことで問い合わせ率を上げることができます。
実際に検討段階に入ったときに、「なんとなく知っているから安心」と感じてもらえるからです。
さらに、利用後もSNSやブログで最新情報を追ってもらえるため、再度の購入や利用を促進しやすくなり、リピーターの定着率を高めるのにも役立ちます。
3-3.新規顧客獲得や販路拡大
ブログやSNSで発信した情報が検索エンジンに拾われたり、SNS上で拡散されたりすることで、これまで接点のなかったユーザー層にリーチできるようになります。
新たな販路を開拓するきっかけとなる可能性が高まるのです。
とくにブログ記事の場合、ニッチなキーワードで上位表示されると、自社サイトや問い合わせフォームへのアクセスが増えるケースも多くあります。
実際、チャコウェブにお問い合わせいただく方はブログ記事を読んでいることが多く、ニッチな需要に届いています。
3-4.採用活動への好影響
求職者は、応募先の雰囲気や実績をSNSやサイトでチェックするのが当たり前の時代です。
「こんな仕事をしているんだ」
「利用者さんやお客様を大切にしているんだ」
自社が発信するコンテンツから伝わると、「ここで働いてみたい」というモチベーションにつながります。
実際に、弊社がコンテンツ発信支援をしているお客様でも、SNSを始めたことで採用応募者のミスマッチが減り、入職後の定着率が良いと評価されています。
中小企業にとって、採用面でのアピール効果は無視できないメリットです。
4.コンテンツ発信の方法と始め方
4-1.発信するテーマを見つける
いざ発信を始めようとしても「何を発信すればいいのか分からない」という壁に突き当たることは少なくありません。
まずは、自社や事業所の強み・専門性を洗い出し、そこにお客様や利用者さんのニーズを掛け合わせてみましょう。
- 自社の強み(専門知識、技術、地域性など)
- お客様の悩み(価格、使い方、アフターサポートなど)
- 業界のトレンド(新しい製品やサービス、法改正など)
たとえば、就労継続支援事業B型であれば、次のようなテーマが考えられます。
- お菓子作りの工程やこだわりポイント
- 日々の事業所での作業の様子や利用者さんの声(個人情報には配慮しつつ)
- イベント出展や販売会の告知・レポート
「自社は専門知識なんてない」と思われがちですが、実際にお菓子をイチから作る工程や、利用者さんが楽しく作業する様子は十分価値ある情報です。
第三者視点で見ると、「それを知りたかった」という人は意外と多いものです。
4-2.プラットフォームの選択
中小企業や事業所がコンテンツを発信する際に、主に選ばれるのが以下のプラットフォームです。
ブログ・オウンドメディア
自社サイトやブログサービスを利用。SEO(検索エンジン最適化)に強く、記事が蓄積していくと資産化しやすい。
リアルタイム性が高く、写真や短い動画を手軽に投稿しやすい。ユーザーとのやり取りが生まれやすい点が魅力。
動画プラットフォーム(YouTube、TikTokなど)
実際の作業風景などをより視覚的にアピール可能。制作にやや手間はかかるが、情報量とインパクトが大きい。
就労継続支援事業B型でお菓子を作っている場合、目で見ても楽しい写真や動画が撮りやすいので、Instagramのようにビジュアル重視のSNSは特に相性がいいでしょう。
4-3.継続運用のポイント
いざ始めても、継続できなければ成果は出にくくなります。
以下の点を意識して運用体制を整えましょう。
担当者と更新頻度を決める
まずは「週1回」「2週間に1回」など、無理のない範囲で更新のペースを決めます。
担当者を明確にし、誰がいつ、何を投稿するかを大まかにスケジュール化すると続けやすくなります。
中小企業の場合、社長自身がSNSを運用することも珍しくありませんから、「スタッフの役目」ととらわれず皆でできることをしましょう。
投稿の目的を常に意識する
「採用への応募者を増やしたい」
「地元の人々に事業所を知ってほしい」
「サービスの良さをアピールしたい」など、投稿する理由をはっきりさせると、内容がぶれにくくなります。
トーン&マナーを揃える
企業イメージが伝わるよう、文体や写真のテイストなどある程度統一感を持たせると認知度が上がりやすいです。
5.成功へのポイントと注意点
5-1.継続が命
コンテンツマーケティングは、一朝一夕で大きな成果が出るものではありません。
焦らず少しずつコンテンツを増やし、半年から1年程度をかけて効果を見守るくらいの気持ちが必要です。
続けることで検索エンジンにも評価されやすくなり、SNSでのファンも増えていきます。
5-2.ターゲットのニーズを最優先
「自社の言いたいこと」を優先しすぎると、ただの自己アピールや広告になってしまいます。
見込み客や既存顧客が抱えている疑問や悩みに焦点を当ててコンテンツを作成しましょう。
「こういう情報を探していた」
「この疑問を解決したかった」
と思ってもらえるコンテンツを作ることが大事です。
ペルソナを設定することも有効です。
5-3.信頼性と品質の担保
どれだけ更新頻度が高くても、内容が薄かったり誤情報が含まれているようでは逆効果です。
記事を書くときは根拠を示したり、引用元を明らかにするなどして、企業としての信頼性を損なわないように注意しましょう。
5-4.双方向のコミュニケーションを大切に
SNSでコメントをもらったり、ブログの問い合わせフォームからメッセージが来たら、できるだけ速やかにレスポンスをすることで、相手との距離感がぐっと縮まります。
こうした双方向のやり取りが、コンテンツマーケティングの大きな強みです。
6.就労継続支援事業B型での成功例
ここでは、実際に就労継続支援事業B型を運営しているUnity様が、コンテンツマーケティングの一環としてSNS(Instagram)を活用し、成果を上げている事例をご紹介します。
6-1.事業所の背景と狙い
Unity様は、障がいや特性をお持ちの方に就労の場を提供し、作業訓練や日常生活面のサポートを行っています。
オープン当初は利用者さんの募集や、地域の方々への認知度アップが課題でした。
また、事業所で作った焼き菓子やスイーツなどを販売するため、地域のイベントに参加することも多かったのですが、初期段階では十分な集客に結びついていませんでした。
運営スタッフは、「事業所の雰囲気をもっと親しみやすく知ってもらいたい」という想いから、Instagramを使った情報発信をスタートしました。
6-2.投稿内容と工夫
日常の風景や楽しそうな作業の写真をシェア
毎日ではなくとも、週に数回、利用者さんとスタッフが楽しそうに過ごしている写真を掲載しました。
見学前の不安を解消するため、「実際にどんな雰囲気なのか」が伝わるように工夫したのです。
「クスッと笑える」リール動画は、Unity様のアカウントでも人気のコンテンツです。
イベント告知と活動報告をこまめに発信
地域の販売イベントに出展した際は、事前にInstagramで告知し、当日の様子もストーリーズでリアルタイムに紹介。
後日には写真付きで「こんな作品が人気でした」「皆さんとこんなやり取りがありました」と活動報告を行い、フォロワーに対して参加のハードルを下げました。
6-3.得られた成果
SNS発信を始めてから1年経たずに、利用者さんの定員上限数に達するほど、多くの方に興味を持ってもらうことができました。
見学に来た人からは「Instagramを見て、楽しそうな雰囲気が伝わったから来ました」と言われることが増えたそうです。
さらに、地域の販売イベントでも、「インスタで見て気になってました」と足を運んでくれる方が増加。
最初は事業所の名前も知らなかった人たちが、Instagramの投稿を通じて親近感を持ち、応援してくれるようになりました。
これは、単に一度きりの宣伝広告ではなく、「この事業所は日頃から、利用者さんを大切にしながら楽しい雰囲気で運営している」というストーリーが伝わったことに大きな要因があります。
この事例から分かるように、たとえ大きな広告費をかけなくても、日常の魅力や活動の意図を丁寧に発信していくことで、多くの人に親しみを持ってもらい、結果的に利用者や顧客、地域コミュニティとの強い結びつきを作り出すことが可能なのです。
7.まとめ
コンテンツマーケティングに取り組むには、「しっかり計画を立てなければいけない」「専門的な知識が必要なのでは」というプレッシャーを感じるかもしれません。
しかし、やるべきことは「相手にとって役に立つ情報を、わかりやすく伝える」というシンプルな部分に集約されます。
今の時代、SNSやブログを活用するメリットは非常に大きく、やらないままでいるのはもったいないと言えます。
特に専門性や地域のつながりが活きる中小企業・事業所にとっては、コンテンツを発信し続けることが大きな武器になります。
最初はスマートフォンで写真を撮って、簡単なコメントをつけて投稿するところからでも問題ありません。
大切なのは、やってみることと、続けることです。
もし「どう運用したらいいのか分からない」という場合は、外部の専門家やアドバイザーに相談するのも一つの手です。
自社の強みや魅力を客観的な視点で整理してもらい、運用の方針を立ててもらうだけでも始めやすくなるでしょう。
まずは小さな一歩を踏み出し、続けることで見えてくる成果を楽しみにしてみてください。